校長ブログ

おがっちBlog

【おがっちBlog91】熱意

 「熱意」 最近、気になる言葉である。

 キミたちもよく耳にし、いろんな人から

「熱意」を持ちなさいと言われるのではないだ

ろうか。あの、パナソニックホールディングスを

一代で築き上げた経営者で「経営の神様」という

異名を持つ松下幸之助氏も「成功の条件の第一に

「熱意」を挙げることが多かった。「熱意」など

という平凡な条件こそが、成功するための第一歩

であり、同時にいちばん大切なものであると考え

ていた。」それは、彼の人生から学んだもので

ある。少々知識が乏しく、才能に乏しい点が

あっても、強い熱意があれば、その姿を見て多く

の人が協力してくれるようになる。「あの人は

熱心にやっているのだから、同じ物であれば、

あの人から買ってあげよう」「あの人が気が

ついていないようだから、これをひとつ教えて

あげよう」と、目に見えない加勢が自然に生まれ

てくる。熱心さは周囲の人を惹きつけ、周囲の

情勢を大きく動かしていく。例えば、なんとして

でもこの2階に上がりたいという熱意があれば、

ハシゴというものを考えつく。ところが、ただ

なんとなく上がってみたいなあと思うぐらいでは

ハシゴを考えだすところまでいかない。

「どうしても、なんとしてでも上がりたい。

自分の唯一の目的は2階に上がることだ」という

くらいの熱意のある人が、ハシゴを考えつくので

ある。是非ともやってみたいという熱意があれば

こそ、その人の才能や知識が十分に生きてくる。

何をなすべきかが次々と考えが浮かんでくる。

 果たして、キミたち自身の熱意が本物であるか

どうか。成功と失敗の分岐点は、そこに尽きるの

だとさえ言っていいと思う。進学目標を達成させ

たい、部活で勝ちたい、やるべき事を成功させ

たい、発展させたいという燃えるような熱意が

あれば、おのずと成功の知恵が見つかるもので

あると、松下氏は導いているのではないだろうか

 そして、松下氏は次の言葉を残すのである。

「世間は誰ひとりとして、キミの成功を邪魔

したりせんよ。やれないというのは、外部の

事情というよりも、自分自身に原因があるもの

なんや。外部のせいではない、理由は自分に

あるんだということを、常に心しておく必要が

あるな。」と。

 私もキミたちに負けないよう、この熱意を

大切に生きていく。

「できるからやるんじゃない。可能性がある

からやるんじゃない。どうしてもやりたいから

やる。」 これこそ、自己肯定感と自分自身の

価値に繋がるのではないかと感じているからで

ある。

 

【おがっちBlog90】激励

 この時期になると校長室での楽しみが増える。

 校長室の窓の向こう側にある「紅葉」である。

 太陽の光で、真っ赤に染まった紅葉の葉が

校長室に押し寄せる。そのチカラを背中で

受け止め仕事をするという快感。そして、

仕事の手を休め、窓越しに紅葉と向き合うと、

目前の朱色に圧倒される。

 この瞬間は、癒やされると言うより、

「もっと、校長という仕事に燃える気持ちを

込められるハズ。」と、激励されている感覚に

陥る。それだけの迫力なのだ。

 窓を開けて、同じ空気を感じる。

 この場所に「紅葉」を植栽した先人の気持ちを

確認したい。歴代校長はこの「紅葉」を観ながら

どんなことに思いを馳せていたのだろうか?

 1本の「紅葉」が様々な想いを繋いでくれる。

 ただただ、感謝である。

【おがっちBlog89】「希望の人」

 現在3年生は、進路目標達成のために、それ

ぞれの場所で動き始めている。3学年団が駐在

する第2職員室の入り口には共通テストまでの

カウントダウンボードが設置され、着実に

その日が近づいていることを伝えている。

 学校推薦型選抜や総合型選抜で受験する

生徒は、校長室に受験届や公欠届に必要な私の

押印を求めに校長室を訪れ、神妙な面持ちで説明

を行う。

 そこでの生徒との会話は、私にとってとても

楽しみな時間である。教師として生徒の進路に

ついて会話ができることは、もっと言わせて

もらえば、生徒自身の人生について、大事な決断

をし、そこに挑もうとしている生徒からその決意

を直接確認することができる。

 葵での高校3年間を全うしようとし、その中で

成長してきた生徒と向き合うことができるまさに

至福の時間である。

 私「キミは、この大学に進学し、どんな仕事に

就きたいのですか?」

生徒A「父親が〇〇学校の教諭をしており、その

姿を見て誇りに思い、自分も〇〇学校の教員を

目指したいと思っています。」

生徒B「母親が医療関係の仕事に就いており、

毎日子育てをし、帰りも遅いのに、それでも仕事

に誇りを持ち、頑張っている姿を見ているので、

自分も母と同じ仕事で頑張りたいと思ったから

です。」

生徒C「自分は葵ゼミで経済について研究し、

将来この分野で働いてみたいと感じることができ

ました。ゼミでの研究は自分にとって影響を

与えてくれました。」

生徒D「小さい頃から音楽に接し、吹奏楽部で

音楽の素晴らしさを感じることできました。

その為、自分の奏でる音楽で多くの人たちが癒や

されて、幸せな気持ちになってほしいと考え、

自衛隊の音楽隊で働きたいと思っています。」

生徒E「自分は演劇が好きで、よく観ていまし

た。その様な中、俳優ではなく、その演劇に必要

な舞台装飾や小道具を作成する仕事に惹かれ、

それを仕事にできればと思いました。」

 生徒からは自分の将来を見据え、その為に

必要な資格取得や知識を学ぶために大学や専門

学校を自分で選択し、決断したことを、目を

輝かせ私に話してくれるのである。

 キミたちの決断が行動を起こし、自分自身で

未来を引き寄せる。

 そう、キミたちは「希望の人」である。

 

  葵高校第21期生のキミたちに贈ります。

「希望のあるところに人生がある。

 希望は新しい勇気をもたらし、何度でも

 強い気持ちにしてくれる。」

 アンネ・フランクの言葉です。 

【おがっちBlog88】「三分の一の悪人」

 この言葉は、諏訪中央病院名誉院長である

鎌田實(みのる)氏の言葉である。鎌田氏は国際

医療支援や作家としても幅広く活躍している方で

あるが、私は、ある本を読んでいる中で、鎌田氏

のこの言葉に興味を惹かれた。

 鎌田氏は、日本を代表する臨床心理学者である

河合隼雄氏の「三分の一の常識人」という言葉

から自分なりに考えた言葉であると話していた。

それは、「三分の一の常識人」が自分の中に存在

するという河合氏の言葉から、鎌田氏は「自分の

中に「三分の一の悪人」がいるんだと納得する

感情が存在し、むしろその悪を知っているから

こそ、これまで医師と作家という仕事を続ける

ことができた。河合先生が「三分の一の常識人」

によって世の中を生きていくことができたと

すれば、私の場合には「三分の一の悪人」が表に

でないようにすることが、働くことであり、

生きることだったのかもしれない。」と話す。

河合氏の言葉については、河合氏の愛弟子といわ

れる皆藤章氏は「全部でも、半分でもなく三分の

一だからこそ、自分の個性を十分に発揮しつつ、

世の中の常識、ルールに則って生きていける。」

と解説している。そして、河合氏も「これが、

二分の一の常識人」だったら、きっと模範的では

あってもつまらない人間になるでしょうし、私も

「二分の一の悪人」だったら、今頃どうなって

いたか分からない。」と話していた。

 自分のことは自分がよくわかる。と一般的に

使われる言葉はあるが、善も悪も、それが自分の

中でどの位の比重を占めているか分からないし、

自分は悪い部分が多いのではないか、常識が

備わっていないのではないか等々、自己嫌悪に

苛まれることは度々ある。

 そんな中、私はこの「三分の一の悪人」という

言葉を聞いて変な安心感が生まれた。つまり、

完璧な人間など存在するはずはなく、誰しもが

善と悪を持ち合わせ、悪の自分が出てしまった

ときに後悔し苦悩する。悪を存在させたくない、

自分から排除しなければならないと考えるのでは

なく、自分の中にも悪は三分の一存在し、その

ことを自覚しながら、その悪が出ないように

意識し、残りの三分の二が自分にとって大切に

しなければいけところと肝に銘じ生きていくべき

ではないかと考えたからである。

 キミたちは、自分の悪にどう向き合っている

か、考えてみてほしい。

 

【おがっちBlog87】知事が葵で特別授業。

 10月11日(金)内堀知事による特別授業が

本校で開催された。これは、県の復興・総合

計画課が主催し、福島県総合計画について、

未来を担う若者世代に周知するとともに、

本県の将来について知事と一緒に考え、

意見を交わすことを目的とし、本校が選ばれ

開催されたのである。

 1年生と教職員210名がこの授業に参加した

 鈴木詩乃さんが知事を案内し、ギターマンド

リン部の演奏で知事が体育館に入場してくると、

参加者の緊張感は一気に高まった。司会を担当

した渋谷百那さんの開式の言葉を受け、

いよいよ知事の授業が始まった。

 会場に張り詰めた緊張感は知事の発した

「葵高校の皆さん、こんにちは」の一言で、

一瞬にして知事ワールドへ引き込まれた。

 知事がわかりやすく総合計画について説明し,

軽妙なトークで生徒たちに話しやすい雰囲気を

作り出していただいた。知事はその機を逃さず

ステージを降り生徒に質問し、生徒とのやり

とりが始まった。知事は、挙手をし質問に答えて

くれる生徒の近くまで出向き、直接目を見ながら

対話を楽しみ、必ず「ありがとう」と伝えて

対話を終える。

 ・知事が高校生にお薦めの本は何ですか?

 ・どうして、福島県の知事になろうと思ったの

  ですか?

 生徒たちも、その状況に緊張しながらも、

勇気を持って質問する姿が頼もしかった。

 あっという間に授業が終わり、生徒代表の

遠藤南雛さんが、知事にお礼の言葉を述べた。

そして、知事からサプライズの提案が。

参加した1年生全員とハイタッチをしたいと

申し出てくれたのだ。生徒たちは、喜びと

驚きで満面の笑みを浮かべたり、ガッツポーズ

をしたり、手を制服で拭いてそのときに備える

等々、様々な表情を見せていた。

 本校にとっても、生徒にとっても貴重な時間

となり、知事が去った体育館は暫く興奮冷め

やらぬ状況であった。すると、県の担当者が

「知事から電話が入り、校長に代わってほしい」

と言われ、その方の携帯電話で知事と話した。

 知事は、本校生徒の聞く態度、それぞれ役割の

あった生徒の対応、勇気を持って質問してくれた

生徒への感謝、お礼の言葉を述べた遠藤さんの

内容が素晴らしく感心したこと、そして、この

ような生徒に向き合い指導している先生方への

労いの言葉を述べてくれたのである。

 私は、片付けをしていた生徒をもう一度集め、

知事からのメッセージをその場で伝えた。

 わざわざ移動の車中から電話をくださる知事の

心遣いに嬉しさが込み上げた。知事のお人柄を

直接感じることができた時間になった。

 生徒にとって、一生思い出に残る時間を

提供いただきました知事、そして県の担当の

方々に心から感謝申し上げます。

「葵プライド」を自覚し、葵高校は未来へ

進んで参ります。