校長ブログ

【おがっちBlog78】154㎝のグッドルーザー(Good Loser)

 パリオリンピックが、盛り上がりを見せ終了

した。キミたちは、今回のオリンピックで何を

感じたのだろうか?

 私はグッドルーザーと言う言葉が気になった。

グッドルーザーとは、「スポーツや競技、さら

にはビジネスや日常生活の中で、負けたときに

相手や自分自身に対してフェアで、冷静で、

前向きな態度を示す人を指します。」とある。

 大会前から、活躍を期待されていた選手が早々

に負けてしまったのも印象に残っている。柔道の

阿部 詩選手、レスリングの須崎優衣選手等が

あげられる。そんな中、私はスポーツクライ

ミング女子の森 秋彩選手の言葉に引き込まれた

 スポーツクライミングという競技は、ボルダー

&リードの総合点数で争うのだが、ボルダーラウ

ンドは「課題」と呼ばれる4つのコースを登った

数で競い、1回の挑戦で登った高さを競うリード

ラウンドとの合計点で順位が決まる。森選手は、

ボルダーラウンドの1つ目の課題で、身長が

高くリーチのある海外選手たちが次々と完登

していく中、154㎝という身長の為、最初の

ホールドをつかむことができず、登りを始める

ことすらできなかった。(このコースセッティ

ングには、試合後フェアではないと物議を醸し

た)この時点で、決勝に進んだ8名中7位。次の

リードラウンドでは、圧倒的な登りで決勝に

進んだ8人中トップとなり、世界一の実力を示し

た。この結果、森選手はボルダーラウンドとの

合計が135.1ポイントとなり、残念ながら

銅メダルの選手には12.3ポイント届かず4位

となったのです。この後、森選手は次のような

言葉を残します。「メダルも取れなかったし、

完登もできず、すごく悔しいが、悔しい思いを

持ち帰った方が今後強くなる原動力になる。この

順位でよかったと思う。もっと強くてかっこいい

クライマーを目指したい。」と話したのです。

 森選手は自分の身長やコースセッティング

については一言も触れず、前を向いています。

これは、勝敗に関わらず尊重されるべき価値観

を体現していると感じました。グッドルーザー

とは、勝利だけが重要なのではなく、競技や

活動を通じて得られる経験や友情、そして自分

自身の成長が重要であることを理解しています。

この価値観は、競技やビジネスだけでなく、

私たちの日常生活でも生かされるのではないで

しょうか。

 グッドルーザーであることは、個人の品格や

人間性を高めるだけでなく、チームやコミュニ

ティ全体に良い影響を与えます。勝者も敗者も

互いに尊重し合うことで、健全な競争が生まれ、

より良い社会や文化が築かれます。

 パリオリンピックの日本勢の活躍は国民に

勇気をもたらしました。スポーツだけではなく、

何事にも直向きに、一生懸命取り組む姿に

人々は共感し、自分自身の生きる力にしよう

とするのです。

 誰かに認めてもらうために何かに取り組む

ことも必要かもしれません。しかし、自分

自身の生きる証として、自分で決めたことに

取り組むこと。それも必要ではないでしょうか。

 もうすぐ2学期が始まります。逞しくなった

葵高生の姿に、期待しかありません。