「葵魂」の3人目は、2年生の細井淳一朗君で

ある。なぜ、彼が3人目となったのか。それは、

先日開催された「全国高等学校ビブリオバトル

決勝大会」で準グランプリ、つまり全国2位と

いう素晴らしい成績を収めたからである。

　さて、皆さんは「ビブリオバトル」という

大会があることは知っているだろうか？

◎ビブリオバトルの公式ルール

１．参加者は、読んで面白いと思った本を持って

　　集まる。

２．順番に1人5分間で本を紹介する。

３．それぞれの発表の後に、参加者全員でその

　　発表に関するディスカッションを2～3分

　　行う。

４．全ての発表が終了した後に、「どの本が

　　一番読みたくなったか？」を基準とした

　　投票を参加者全員が1人1票で行い、

　　最多票を集めた本をチャンプ本とする。

となっている。この大会に参加するために、先ず

は校内で募集をし、彼が本校代表となるところ

から、始まる。彼が選んだ本は、榊林銘著「あと

十五秒で死ぬ」という短編集である。先生方から

のアドバイスを受け、会津地区大会を勝ち抜き、

県大会に臨み、見事に優勝し、東京で開催された

全国大会へ出場したのである。

　大会前に学校で行った最終リハーサルでは

5分20秒で、5分を目指し調整が図られた。

本人は少し不安な様子も窺えたが、ここまで

来たらやるしかないという強い決意を感じる

ことができた。しかし、考えてみると、自分

が選んだ本の面白さを5分間にまとめ、原稿

なしでプレゼンするというのは中々の難題で

ある。暗記したことを、そのまま言葉に

しても、本を読みたいと思わせることは

出来ないので、声の抑揚、興味をそそる内容、

おもしろさ、質疑への的確な回答、

ジェスチャーを交えてのプレゼン等々、その

ひとつひとつに工夫を凝らして本番に臨んだ。

　彼の最大の強みは、どんな場面でも、自分の

パフォーマンスを最大限発揮できる度胸と勇気

である。

　49人が出場した全国大会では、6人1組で行わ

れた予選を突破し、8人で行われる決勝に進出。

　彼の決勝前のやる気に満ちあふれた様子を

見て、私は「もしかしたら、何かが起こるかも

しれない。」と予感があった。決勝では8人中

6番目にプレゼンを行い、なんと5分ジャストと

いうミラクルを起こした。その後の質問にも

ユーモアを交えながらの回答で会場を沸かせる

こともできた。

　彼は、のちに「予選を含めて決勝が最高に

楽しかったし、一番の出来でした。」と話すの

である。審査結果の発表で準グランプリを伝え

られ、表彰式では最高のガッツポーズで締めて

くれた。

　彼は「ここまできたら、優勝したかった。」と

悔しさを滲ませたが、私は「ここまできたことが

凄いこと。そしてまだ、トップが残っていると

いうこと。何よりも、これからの君の振る舞いが

大事。次のステップに繋がるとても素晴らしい

経験ができたことを忘れずに、これからも葵高校

でチャレンジを続けてほしい。」と伝えた。

　葵高校の名前を全国に発信してくれたこと。

そして、今まで紹介した2名を含め、多くの生徒

が本校の教育活動や雰囲気、部活動等々で

それぞれの個性ややる気、能力が引き出され、

未来へ繋がる実績を残せることを証明してくれ

ている。「葵魂」を持つ生徒達に心から敬意を

表したい。